委員会・勉強会
事業再生研究機構では、その目的とするテーマに応じて個別の委員会が設置されています。個々の委員会は、検討内容取りまとめに際してより広範な意見を反映させるとともに、解説会等を開催して会員との情報共有を図るなど、個別活動の中核を担うものです。
1.【税務問題委員会(委員長=大森斉貴 公認会計士・税理士)】
税務問題委員会は、事業再生分野における税務問題に関して、税務上の取扱いにおける私的整理・法的整理の「イコール・フッティング」を目的として、債権者側・債務者側の両サイドはもとより2004年からは投資者の視点からもさまざまな課題を整理し、税制のあり方について検討を行っている。
例年の活動として、当機構会員を中心として実施されたアンケートにより実務からの問題意識を収集してこれを議論の出発点としつつ、その検討結果として2003年から継続させている「事業再生に関わる税制改正要望」を取りまとめた。これら改正要望については、政府・与党等における税制改正論議にも一部盛り込まれ、一定の成果を上げている。これまで公表してきた税制改正要望は、【これまでの活動実績】に掲載している。
事業再生に関わる税制改正要望(令和7年度版)
2024年度(2024年7月9日) 全文(PDF)
<歴代の執行部体制> 第1期委員長=名古屋信夫公認会計士・元当機構理事、第2~4 期委員長=杉本 茂公認会計士・税理士・当機構理事、第5~8期委員長=植木康彦公認会計士・税理士・当機構理事、第9期~11期委員長=須賀一也公認会計士・当機構理事、第12~16期委員長=榑林一典税理士・当機構理事、第17~20期委員長=高野公人公認会計士・税理士・当機構理事、第21~期委員長=大森斉貴公認会計士・税理士・当機構理事。
2.【法的整理に係る債権者申立研究会(座長=三森仁 弁護士)
現在の金融環境とレンダーガバナンス問題、日本の事業会社の生産性が低いままという課題、経営に問題を抱える事業会社について適切に退出を促し人材等の経営資源を有効に活用できるように新陳代謝を図る必要性、法的整理を債権者として申し立てる場合のレピュテーションリスクや情報不足に伴う失敗リスク及び予納金等費用の問題を検討を行った。2024年度に最終とりまとめを行い、2025年3月に書籍『債権者申立ての活用』(商事法務刊)として公表した。2025年度は、本書を踏まえて、今後の債権者申立てのあり方、実務対応等についてのセミナーを企画、実施する。
3.【担保法改正と事業再生実務研究会(座長=蓑毛良和 弁護士)】
法制審議会担保法部会や金融庁研究会などにおいて担保法改正議論が行われている。そこで、①議論の概要を理解し、改正動向と事業再生実務に与える影響を検討し、②固まった改正案が事業再生実務に与える影響を分析することを目的として研究を行う。
2025年度は、2024年度に開催した会員解説会の内容を基に、別冊NBLにて、企業価値担保権の解説を掲載する。また、事業性融資の推進等に関する法律、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案について研究を深め、関連テーマに関する会員解説会の開催などを検討する。
4.【コロナ禍等と事業再生実務研究会:「金融機関向け再生・倒産実務勉強会」(座長=三森仁 弁護士)】
「コロナ禍」における事業再生の実態把握と「あるべきコロナ禍事業再生」の提言を目的として研究会を立ち上げ、今後、会員解説会を開催するとともに金融機関等にヒアリングを実施することを検討している。
事業規模や地域、経営形態、与信に対する考え方等によって異なり得る金融機関における債権管理や事業再生(私的整理/法的整理)の実務について、弁護士・公認会計士等の事業再生実務家と金融機関担当者との交流を通じて、その実態を把握し、よりよい事業再生実務のあり方を協議・検討する。
2022年度には、金融機関等の若手職員を対象とした勉強会を開催し、2024年度には「法的倒産手続の基礎(全5回)」として再構成したセミナーを実施、2025年度は「私的整理手続の基礎」を企画・実施を予定している。
5.金融実務研究会(座長=三森仁 弁護士、幹事=鐘ヶ江洋祐 弁護士)】
事業規模や地域、経営形態、与信に対する考え方等によって異なりうる金融機関における債権管理や事業再生(私的整理/法的整理)の実務について、弁護士・公認会計士等の事業再生実務家と金融機関担当者との交流を通じて、その実態を把握し、よりよい事業再生実務のあり方を協議・検討している。本研究会では、連続講座形式のミニセミナーも企画し、2022年4月、2024年3月と実施している。
6.【経営者保証改革研究会(座長=山田尚武弁護士)】
経営者保証(保証契約)、経営者保証解除や保証債務整理、経営者保証に依存しない融資慣行確立後の経営者の倒産責任については、法的な見地からの研究が不可欠である。本研究会では、弁護士を中心とする有識者の知見を集積し、新しい経営者保証の在り方について検討を重ねている。具体的には、①経営者保証ガイドラインの入口論(設定と解除等)、②経営者保証ガイドラインの出口論、③経営者の倒産責任(経営者保証による規律を外したときに備えとして)の3チームに分かれて検討した。
2025年はシンポジウムテーマとして準備を進め、2月に経営者保証の現状を探るべく金融機関アンケートを実施、その回答結果を踏まえて5月のシンポジウムを開催した。シンポジウムの成果は2026年3月刊行を目指し、鋭意準備を進める。